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知的財産戦略大綱を読む −第3回「保護」−
動向】発信:2002/06/27(木) 15:44:06  

   6月14日、知的財産戦略大綱(素案)(以下、戦略大綱という)が発表された。政府が日本経済のビジョンを打ち出したのは極めて稀なことであろう。この戦略大綱はA4で約50頁に及び、50の改革が盛り込まれた濃厚なものであるが、知財情報局では出来る限り簡潔且つ理解しやすいように編集・紹介する。なお、正確な理解には必ず戦略大綱自身を参照していただきたい。

   ■第3回「保護」

   最新技術・ノウハウ・コンテンツなどの「情報づくり」産業の欠点は、模倣・複製が極めて容易ということである。従って、それらの情報は、模倣・複製される前の段階で速やかに権利化され、保護されなければならない。例えば、特許出願を経て特許権が付与されるまでに長期間を要すると、権利化前にその技術自体が陳腐化し、特許前に多くの模倣を生み出してしまう。又侵害訴訟においても、判決が下されるまでに長期間を要すると、判決が下された後の対処では、侵害前の状態に回復できない状態になっているかもしれない。このような「侵害し得」という状況は現在も存在しており、いずれにしろ、知的財産権が重要視されている現在では、法改正や各省庁の機能強化などによって、出来る限り素早い対応が必要であることは間違いない。

   これらの要請に応ずる為、戦略大綱では、審査期間を短縮する取り組みを推進する。また、世界特許システムを構築する準備として、日米特許庁の間で先行技術調査結果・審査結果を相互利用するプロジェクトを立ち上げる。例えば、米国で特許査定が下された発明は自動的に日本でも特許査定が下され、その反対も同様となることが想定される。これが実現されると、出願人の費用負担、特許庁の審査負担が大幅に軽減される。

   裁判に関しては、特許権侵害訴訟の管轄を東京地裁と大阪地裁に限定し、高裁に関しては東京高裁に集中させる。これにより実質的に「特許裁判所」が創設されることになり、統一された判断が速やかに下されることになる。また、これまでも特許法の改正などによって訴訟における侵害行為立証の容易化が図られてきているが、2005年度までに、証拠収集手続の更なる機能強化を検討する。また、「侵害し得」を防止するために、損害額の算定方法にも検討が加えられる。

   なお、海外の模倣品、海賊版問題なども含め本保護戦略は政治的・法律的である。2国間交渉・多国間交渉などを通じて海外への働きかけを強化していく際の日本の交渉・提案力、実際に各諸官庁が素早く計画を具体化・実践していく実行力等が成功の鍵となるであろう。

   (次回、第4回テーマ「活用」)



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