| 知的財産戦略大綱を読む −第4回「活用」−
【動向】発信:2002/06/28(金) 14:37:49 |
| 6月14日、知的財産戦略大綱(素案)(以下、戦略大綱という)が発表された。政府が日本経済のビジョンを打ち出したのは極めて稀なことであろう。この戦略大綱はA4で約50頁に及び、50の改革が盛り込まれた濃厚なものであるが、知財情報局では出来る限り簡潔且つ理解しやすいように編集・紹介する。なお、正確な理解には必ず戦略大綱自身を参照していただきたい。 ■第4回「活用」 大学には膨大な知的財産が眠っているが、今までは効率的に活用されていなかった。この知的財産を活用するためには、特許等に権利化した後に会社に移転し、収益のあるビジネスを生み出さなければならない。その結果、便利な商品・サービスが社会に普及して市場も活性化し、その収益は研究者に還元されて研究・開発費となり、新たな知的財産を生み出す。この技術移転の役割を担うのがライセンス専門機関であるTLOとベンチャーの連携であろう。 2003年度から大学に「知的財産本部」が設置され、TLOと連携して権利化から技術移転までを総合的に管理する。また、大学と企業が連携して共同研究する場合や、研究者がベンチャービジネスに関与する場合などを想定し、大学での技術移転契約ルールを整備する。また、ライセンス活動によってもたらされた利益を大学や研究機関に還元させ、各機関にインセンティブを与えるような資源配分を国が検討する。 企業に関しては、特許・商標・著作権などの知的財産権に関するニュースは新聞、雑誌で頻繁に掲載されている反面、実際のところ、経営者は知的財産に十分な関心を持たない者が少なくない。特許侵害の警告状が会社に到着した、自社製品の完全な模倣品が市場に流通した、というような実体験が少ないからである。 その点を考慮し、企業自らが知的財産を競争力の源泉として経営戦略の中に位置付けるよう、その参考となる指針を2002年度中に策定する。また、知らない間に国内企業の技術が海外に流出することを防止するために、その参考指針を策定する。 音楽・映像などのコンテンツに関しては、模倣、違法コピーなどの問題が発生しており、円滑に流通しているとはいえない状況にある。それを踏まえて、2002年度以降、新技術と著作権契約システムを組合せた新しい流通システムの構築を支援し、ネット上での著作権契約システムの研究開発などを実施することになる。 この「活用戦略」によって知的財産が大きな利益を生み出すことができれば、この戦略大綱は成功したことになる。ビジネスを立ち上げて利益をあげていくのは容易なことではなく、この戦略は10年以上の長期的な視野が必要となるが、その為にも今は着実に種(シーズ技術)を育んでいく必要があると考えられる。 以上、全4回にわたって戦略大綱を紹介した。出来る限り具体化した取り組みを抽出したつもりであるが、抽象的な部分も残ってしまった。日本が進むべき道を決定した点で戦略大網は重要な存在であるが、各省庁が方針や計画をどこまで具体化し、産業界に直接的な効果をもたらすことができるのか、今後の動きを注目していきたい。 (知的財産戦略大綱を読む −終わり−) |
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