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【名地裁】特許拒絶理由の引用例、不正競争防止法の判断に影響
訴訟】発信:2002/07/23(火) 12:39:28  

   本件は、瓦を製造販売する原告から、同業者である被告に対し、被告が販売・展示等する別紙被告商品目録記載の瓦が、原告商品の形態を模倣したものであるとして、不正競争防止法2条1項3号、3条に基づき、その譲渡、貸渡し、譲渡若しくは貸渡しのための展示の差止めと、同法4条に基づき損害賠償を求めた事案である。本事案において名古屋地裁は6月28日、原告の請求を棄却する判決を下した。ここでは本判決における名古屋地裁の判断の一部を抜粋して紹介する。

   【名古屋地裁の判断】

   ■不正競争防止法2条1項3号にいう商品の「形態」の意義

   先ず、同号にいう商品の「形態」の意義を検討するに、他人の商品の形態をそのまま模倣することにより、他人が費用、労力をかけて開発した成果である商品の形態を許諾なく利用して、開発のコストを節約する一方で、商品の開発につきものの失敗の危険を小さく抑えつつ、当該商品を開発した他人と、同商品について市場で競争しようとすることは、競争のあり方として不当な行為であると考えられるので、同号は、そのような行為を不正競争とすることにより商品を開発して市場に置いた者の先行利益を一定期間保護しようとする趣旨のものであること、及び「形態」という文言に照らせば、同号にいう「形態」とは、物の外観に着目した概念であり、その形状、模様、色彩、質量感、光沢感など専ら視覚によって認識することができる要素によって構成されるものであると解される。

   前記「形態」の意義に照らせば、商品の機能及び性能並びにこれらを実現するための構造それ自体は、「形態」に当たらず、それらが外観上認識し得る限りにおいて、同号の保護の対象となり得るにすぎないと解される。

   そうすると、本件では、原告の主張のうち、その機能及び性能に関わる部分は、同号による保護の対象とならず、それが外観上認識し得るものに限り、商品の形態の要素となり得るにすぎないというべきである。

   ■模倣した商品とは

   前記趣旨に照らせば、模倣に当たるためには、商品の外観を対比し、酷似ないし実質的に同一といい得ることを要するところ、実質的に同一というためには、両者の間に若干の相違点が存在するとしても、当該商品全体からすると些細であり、商品全体として観察すれば、無視し得る程度のものにとどまることが必要というべきである。

   本件では、両商品の形態上の違いは、些細なものであって無視し得るものとは到底いえず、イ号商品は、客観面において原告商品の形態を模倣したものとは認め難い。

   ■「同種の商品が通常有する形態」を除く趣旨(特許出願経過の参酌あり)

   原告は、注目をひく点は突起の存在及びその形状であり、突起の位置は、原告商品、イ号商品のいずれにおいても共通する旨等を主張する。

   しかしながら、同法が、同種商品が通常有する形態を保護の対象から除外したのは、同種の商品であれば通常有するような形態は、その開発に特段の費用や労力の投下及びリスクの負担が行われたわけではないのが通常である上に、そのような形態は、その商品の機能及び効用を果たすために不可避的に採用しなければならない商品形態である場合が通常であろうから、この種の形態を特定の者に独占させることは、商品の形態ではなく、同一の機能及び効用を奏するその種商品そのものの独占を招来することになり、同種の商品間における発展的な競争を阻害することになり、不正競争防止法の趣旨に反することになるからであると解される。

   本件では、原告が、防災瓦の係合構造に係る発明について特許出願したのに対し、特許庁は拒絶査定しているところ、その引用例には、尻部側に係止突起を、頭部側に係止受部をそれぞれ有し・・・瓦のずれ、浮きを防止する発明が記載されていること等の事実が認められる。そうすると、係止受部等を設けること自体は、そのような機能構造を有する防災瓦としての通常有する形態であり、この点の類似性を根拠にイ号商品が原告商品の形態を模倣したものである旨の原告の上記主張は採用できない。

   ■意匠登録出願経過の参酌

   さらに原告は、意匠登録の過程で、いったんなされた拒絶査定の理由において、突起のない従来型の平板瓦が引用されていたことを理由に、突起の存在が原告商品の形態上の重要な特徴である旨主張するが、意匠法は、物品の形状・・・視覚を通じて美感を起こさせるものをその保護対象としており、不正競争防止法2条1項3号と趣旨を異にする上、上記拒絶査定に対する審判請求においても、原告は、多数の相違点を指摘し、これらの要素が組み合わさった全体形状が非類似であることを主張していることが認められるから、特許庁が突起の存在を決定的な要素として意匠登録の審決をしたとまでは推認できず、原告の上記主張も採用できない。


   ◆H14. 6.28 名古屋地裁 平成14(ワ)142 不正競争 民事訴訟事件
   名古屋地方裁判所民事第9部



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