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【東地裁】自ら開発・商品化していないので損害賠償請求できず
訴訟】発信:2002/08/01(木) 08:12:35  

   携帯電話機用のアンテナ(2段折りのアンテナ)を製造販売する原告が,被告が第三者から供給を受けて販売する携帯電話機用のアンテナは,原告の製造販売に係るアンテナの形態を模倣した商品であると主張して,被告に対し,不正競争防止法2条1項3号所定の不正競争行為を理由として損害賠償を求めていた事案において、東京地裁は7月30日、原告の請求を棄却する判決を下した。ここでは本判決における東京地裁の判断の一部を抜粋して紹介する。


   【東京地裁の判断】

   ■2段折りのアンテナは原告の考案か

   原告は,「2段折り収納形状を特徴とする原告商品の形態を最初に考案したのは原告であり,台湾のハオチャンに原告商品の製造を委託していた。」と主張するのに対し,被告は,「台湾のシンタクは,原告よりも先に2段折れ式の携帯電話機用アンテナを開発製造していたものであり,ハオチャンは,シンタクからこれを購入して,原告に輸出していた。」と主張している。そこで,1997年(平成9年)当時の台湾における携帯電話機用アンテナの開発製造の状況について,まず検討する。

   ・・・事実関係は省略・・・

   本件において認定される前記事実関係に照らせば,Aにおいて2段折れアンテナを携帯電話機用のアンテナとして用いるという発想を独自に得た上で,その具体的形状につきハオチャンに問い合わせないし相談をしたところ,携帯電話機用の2段折れアンテナをシンタクにおいて製造販売していることを知っていたハオチャンが,原告に対し,商品の具体的形状として,シンタクの製品を書き写した書面を送付したという可能性も考えられる(なお,ハオチャンは,原告に対してそれがシンタクの製品であることを告げず,自ら作図した書面である旨の虚偽の説明をしていた可能性もある。)。しかし,いずれにしても,Aにおいて,2段折れアンテナの具体的形状を自ら発想し,これを商品化したということはできない。

   ■不正競争防止法2条1項3号の趣旨等について

   不正競争防止法2条1項3号の趣旨につき考察するに,他人が資金・労力を投下して開発・商品化した商品の形態について,他に選択肢があるにもかかわらずことさらこれを模倣して自らの商品として市場に置くことは,先行者の築いた開発成果にいわばただ乗りする行為であって,競争上不公正な行為と評価されるべきものであり,また,このような行為により模倣者が商品形態開発のための費用・労力を要することなく先行者と市場において競合することを許容するときは,新商品の開発に対する社会的意欲を減殺することとなる。

   このような観点から,模倣者の上記のような行為を不正競争として規制することによって,先行者の開発利益を模倣者から保護することとしたのが,同規定の趣旨と解するのが相当である。

   これによれば,不正競争防止法2条1項3号所定の不正競争行為につき差止めないし損害賠償を請求することができる者は,形態模倣の対象とされた商品を自ら開発・商品化して市場に置いた者に限られるというべきである。

   本件においては,前記認定のとおり,原告はシンタクが開発製造した2段折れのアンテナを購入した台湾のハオチャンからこれを輸入し,日本で販売したにすぎないから,原告は自ら原告商品を開発し,商品化して市場に置いた者ということができない。

   なお,前記のとおり,本件においては,2段折れアンテナを携帯電話機用のアンテナとして用いるという発想自体については,Aが独自に着想して,その具体的形状につきハオチャンに問い合わせないし相談をしたという可能性も存在するが,不正競争防止法2条1項3号は単なるアイデアを保護の対象とするものではないから,仮にA自身がそのような発想を得たものであるとしても,原告はこれを商品の形態として具体化するための労力,時間や資本を投下しておらず,原告商品の具体的形状がシンタクが先行して製造販売していた製品に由来するものである以上,原告が同号に基づく請求の主体となり得るということはできない。

   したがって,原告は,原告商品に関して,不正競争防止法2条1項3号に基づいて損害賠償を請求することができないというべきである。

   ◆H14. 7.30 東京地裁 平成13(ワ)1057 不正競争 民事訴訟事件
   東京地方裁判所民事第46部
   裁判長裁判官 三    村    量    一
   裁判官    和 久 田   道   雄
   裁判官    田    中    孝    一



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