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【東高裁】アニメ化の許諾に映画化の許諾は含まず…著作権
訴訟】発信:2002/10/11(金) 09:47:39  

   本件は、訴外株式会社毎日放送をキー局として放映された連続テレビジョン放送用アニメーション「超時空要塞マクロス」全36話に使用された設定画及びアニメカットである各図柄について、被控訴人株式会社スタジオぬえの従業員であるA等の3者が、被控訴人株式会社スタジオぬえの発意に基づき、その業務に従事する過程で創作したものであり、被控訴人株式会社スタジオぬえは本件各図柄に係る著作権を取得し、また、被控訴人株式会社ビックウエストは被控訴人株式会社スタジオぬえからその著作権の持分権を譲り受け、著作権を共有していると主張して、被控訴人らが控訴人(株式会社竜の子プロダクション)に対して、被控訴人らが本件各図柄について著作権を有することの確認、及び本件各図柄を使用した映画の制作の差止めを求めた事案。

   原判決は、被控訴人ら主張の上記の請求原因事実を認め、また、本件テレビアニメの制作の経緯からすれば、被控訴人株式会社スタジオぬえは控訴人に対して本件各図柄の著作権を明示又は黙示に譲渡する旨の意思表示をした旨の控訴人主張の抗弁を排斥して、被控訴人らが本件各図柄につき著作権を有することの確認を求める本訴請求を認容し、映画の制作の差止めを求める本訴請求については、控訴人が将来映画の制作をするおそれがあるとは認められないとして、これを棄却した。これに対し、控訴人が本件控訴を提起した。

   本件において東京高裁は、本件控訴をいずれも棄却する旨の判決を下した。ここでは本判決における東京高裁の判断について、その一部を抜粋して紹介する。

   【東京高裁の判断】

   控訴人は、当審において、本件各図柄の制作にAら3名が参加したとしても、アニメーション映画制作会社の業界においては、アニメーション映画に使用される図柄の著作権の買い上げについて、個別の契約を締結することなく、控訴人のようなアニメーション映画制作会社に対してアニメーターが制作した図柄の著作権を当然に譲渡する旨の黙示の合意又は事実たる慣習ないし商慣習が存在している旨主張する。

   しかしながら、本件当時においても、アニメーション映画制作会社とアニメーション映画に使用される図柄の制作者側との間で、その図柄の著作権の帰属について、個別に契約が締結され、現に契約書が作成される例があったことが認められるのであり、アニメーション映画制作会社の業界において、アニメーション映画に使用される図柄の制作の経緯等の個別事情に関わりなく、一般的にアニメーション映画に使用される図柄の著作物を創作した者がその著作権をアニメーション映画制作会社に対して当然に譲渡する旨の黙示の合意又は事実たる慣習ないし商慣習が存在することについては疑問が多いといわざるを得ない。

   控訴人は、控訴人主張のように、アニメーション映画に使用される図柄の著作権の黙示の譲渡の合意又は事実たる慣習ないし商慣習が存在しなければ、アニメーション映画の制作が事実上不可能になる旨主張している。

   しかしながら、アニメーション映画制作会社がアニメーション映画を制作するに当たり、それに利用する図柄の著作権の譲渡を受けなくても、その著作物をアニメーション映画に利用することについて予め著作権者の許諾を得ていれば、アニメーション映画の制作に支障がないことは明らかであり、本件においても、原判決が説示するとおり、本件各図柄の著作権者である被控訴人株式会社スタジオぬえは、控訴人に対して、本件各図柄を本件テレビアニメに利用することについて許諾を与える意思表示をしたとみることができるのであるから、控訴人の上記主張は、失当である。

   ◆H14.10. 2 東京高裁 平成14(ネ)1911 著作権 民事訴訟事件
   東京高等裁判所第3民事部
   裁判長裁判官   北    山    元    章
   裁判官   橋    本    英    史
   裁判官   絹    川    泰    毅



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