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【知財情報局】満了のお知らせ
2002年の開設依頼、約15年間運営させていただいた【知財情報局】は2016年末をもって更新を終了いたします。【知財情報局】は、『知的財産』という言葉すら普及していない2002年に、その啓発目的でスタートした情報サイトです。2016年の現在、『知的財産』という言葉はとても一般的となり、中小企業やベンチャー企業にとっても、当然のように戦略的に知財活動に取り組まれる環境になりました。知的財産に関する情報もインターネットの普及で比較的容易に収集できるようにになりました。従いまして、【知財情報局】も設立目的である啓発活動に関して一定の役割を全うできたと判断し、無事に満了とさせていただきます。
設立当初の予想を超え、ユーザー数2万/1日平均4万ページビューの情報サイトとなり、多くの方々に支えられました。これまでの多くの方のご支援に改めて感謝申し上げます。この感謝の気持ちをエネルギーとし、これからも形を変えて更にお役にたてるよう、私どもも様々な活動を実行させていただきます。/株式会社ブライナ

【東高裁】掲示板への書込みにも著作権
訴訟】発信:2002/11/11(月) 13:38:59  

   本件は、XYZが設置、管理するホームページ上の掲示板に文章を書き込んだ被控訴人らが、同人らが書き込んだ文章の一部を複製(転載)して書籍を作成し、出版、販売頒布した控訴人ら及び出版社に対し、同人らの行為は被控訴人らが上記文章につき有する著作権を侵害するとして、上記書籍の出版等の中止及び損害賠償金の支払などを請求した事案。原判決では上記侵害を認め、被控訴人らの請求を金員支払請求の一部を除いて認容したため、控訴人らがこれを不服として控訴を提起した。

   本事案において東京高裁は10月29日、控訴人らが連帯して被控訴人等に対し所定の金員を支払う旨の判決を下した。ここでは本判決における東京高裁の判断の一部について抜粋して紹介する。


   【東京高裁の判断】

   控訴人らは、原告各記述部分のようなインターネット上の掲示板への書込みの著作物性について、

   @インターネット上の掲示板への書込みは全世界において毎秒単位で膨大な数がなされ、しかも、随意に消去されているため、その全容を把握することが困難であること、
   Aインターネット上の書込みを利用するために、書込みをした者の承諾を得ようとしても、書き込みが多くの場合匿名でなされるため、連絡をすることが困難であることから、このような承諾手続が必要となるとインターネット上の情報の利用が制約されることとなり、ひいてはインターネットの発展を阻害することになること、
   Bインターネット上での掲示板への書込みは、多くの場合対価が得られないような程度の内容のものが大部分であること

   等の実状に鑑みると、インターネット上の掲示板への書込みの著作物性の判断に当たっては、従来の情報伝達手段におけるより厳格な基準によるべきであり、具体的には「何らかの評価、意見」や「何らかの個性」があるだけでは足りず、「相当程度にまとまった独自の思想又は感情に基づく独創性が表現されている」ことを必要とすると解すべきである、と主張する。

   しかしながら、膨大な表現行為が行われているため全容の把握が困難であること、匿名で行われた場合に表現者の承諾を得るのが困難であること、対価が得られないような程度の内容の表現行為が多く見られることは、インターネット上の書込みに限られず、他の分野での表現についてもいえることであるから、これらの事情は、インターネット上の書込みの著作物性の判断基準を他の表現についてよりも厳格に解釈することの根拠とすることはできないというべきである。

   控訴人らは、インターネット上の書込みについて、承諾を必要とする範囲を広く解すると、インターネット上の情報の利用を制約することになり、ひいてはインターネットの発展を阻害することになる、と主張する。

   しかしながら、インターネット上の書込みについて、その利用の承諾を得ることが全く不可能というわけではない。また、承諾を得られない場合であっても、創作性の程度が低いものについては、多くの場合、表現に多少手を加えることにより、容易に複製権侵害を回避することができる場合が多いと考えられるから、そのようなものについても著作物性を認め、少なくともそのままいわゆるデッドコピーをすることは許されない、と解したとしても、そのことが、インターネットの利用、発展の妨げとなると解することはできないというべきである。

   控訴人らは、被控訴人らは匿名で書込みをし、その内容について責任追及を困難にすることを選んだ以上、その書込みについて著作権等の権利を主張することは許されない、と主張する。

   確かに、例えば、他人の名誉を毀損するなど、その内容について法的な責任を追及されるような内容のインターネット上の書込みを匿名でした者が、他方で、その書込みについて権利を主張することが、権利の濫用などを理由に許されないとされる場合があり得ることは、否定できない。しかしながら、そのような場合があり得るからといって、その理屈をインターネット上の書込み一般に及ぼし、およそ匿名で行った書込みについては、内容のいかんを問わず、権利行使が許されないなどど解することができないことは明らかである。


   ◆H14.10.29 東京高裁 平成14(ネ)2887等 著作権 民事訴訟事件
   東京高等裁判所第6民事部
   裁判長裁判官     山   下   和   明
   裁判官     設   樂   隆   一
   裁判官     阿   部   正   幸



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