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【東地裁】日常的でありふれた表現の域を出ない…調査シート
【訴訟】発信:2002/11/19(火) 11:56:33
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被告Aが被告会社(株式会社市場価値測定研究所)の代表取締役としてその職務を行うにつき、原告(株式会社インタービジョン)の代表取締役であるBの「Qシート」に関する著作権及び著作者人格権(複製権、氏名表示権、同一性保持権)を侵害したとし、原告はQシートについて、Bから独占的利用許諾を受けていることを理由として、被告らに対してその損害賠償を求めた事案において、東京地裁は11月15日、原告の請求を棄却する判決を下した。ここでは本判決における東京地裁の判断の一部について抜粋して紹介する。
なお、被告Aは、過去に6か月間ほど原告の代表取締役を務めていたが、その後、被告会社の代表取締役となっており、被告Aは、原告在職中に、Qシートの内容を知っていた。
【東京地裁の判断】
■Qシートの著作物性の有無
Qシートは、表題、回答者の特定に必要な欄及び1行36文字8行からなる回答方法についての解説並びに80問の質問とその回答欄から構成されている。質問文は、いずれも最小5文字、最大34文字の短文であって、疑問文ではなく肯定文又は否定文であり、これに対し、「はい」「?」「いいえ」で回答する欄が作成されている。
測定テストは、1部70問の3部構成で合計210問の質問とその回答欄から構成される。測定テストの質問と同一であるQシートの質問は、別紙1記載の本件50問であるが、その配列はQシートの配列とは全く異なり、測定テストにおける他の160問と混在している(甲3)。
まず、測定テストで利用された本件50問の個々の質問文に著作物性が存在するかを検討すると、1つ1つの質問文は、いずれも前述のとおり短文である上、一般的かつ日常的でありふれた表現が用いられており、特徴的な言い回しがあるとも認められない。
原告は、個々の質問文は、高度に専門的な分析から作成されたもので、一般の文章とは比べものにならない精度を要求される文章であり、ちょっとした表記の違いが決定的な違いを生む場合がある、直感的に答えやすく、理性的な判断が働きにくい表現が使用される等の工夫がされていると主張する。
しかし、原告が工夫したとする点は、質問ではなく肯定文又は否定文にしたことや性格の傾向ではなく経験を尋ねる内容にしたことや具体的な場面をイメージしやすい言葉を選択したこと等であって、一般的かつ日常的でありふれた表現の域を出るものではない。原告が主張する、ちょっとした表記の違いが決定的な違いを生む場合があるとの点は、その事実を具体的に認めるに足りる証拠はない。
したがって、本件50問の個々の質問文の表現に、作者の個性が表出されているとは認められないから、創作性は認められない。著作権法は表現を保護するものであって、思想やアイディアを保護するものではないから、いずれの質問文の表現にも創作性が認められない以上、著作物性は認められない。
そして、個々の質問文に著作物性が認められない以上、これらの独立した質問文を80問集めたものであるQシートの質問文全体についても、それが編集著作物として著作物性を認められるかどうかという点を別にすると、著作物性は認められない。
原告は、Qシートについて、BがFFS理論に基づき、人の個性について、凝縮性、受容性、弁別性、拡散性及び保全性の5個の因子並びにあるストレスを与えることにより発現する潜在能力を計量的に分類するために作成したものであって、質問文は、1946年にミネソタ大学のFとGによって英文で作成された550問を翻訳して、80問を選択し、その質問の順序は、判定の対象となる5つの因子に関し、同じ因子についての質問が連続しないように配列されていると主張しており、この主張によると、Qシートの質問文全体は、素材の選択又は配列によって創作性を有するとして、編集著作物に当たるとする余地がある。
■被告らによる侵害の有無
(被告らの)測定シートでは、本件50問は、他の160問と混在しており、その順序も、Qシートとは全く異なっている。したがって、上記のとおりQシートの質問文全体が素材の配列によって創作性を有するとしても、被告会社が、測定テストの作成に当たって本件50問を使用した行為は、Qシートの配列についての創作性を有する部分を複製した行為ということはできない。
よって、被告会社の行為がQシートについての複製権を侵害したとは認められないから、Qシートについての複製権侵害を理由とする請求は理由がない。
◆H14.11.15 東京地裁 平成14(ワ)4677 著作権 民事訴訟事件 東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官 森 義 之 裁判官 東 海 林 保 裁判官 瀬 戸 さ や か
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