


【訴訟】ジャンルでは、最高裁や東京高裁等の判決をタイムリーに紹介していきます。なお、判決は一部を抜粋し、裁判所の判断を要約していますので、正確な情報が必要な方は、各裁判所のホームページにて実際の判決文を直接ご覧ください。
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【東高裁】発見や仮説を保護するものではない…著作権法
【訴訟】発信:2002/11/22(金) 13:29:05
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被控訴人Mが執筆し、平塚市市、同協議会ないし同県が発行した各文書に、控訴人(関東第四紀研究会)らの作成した資料(地質図、柱状図等)が、無断で、かつ、引用であることを示す表示(以下「引用表示」という。)なしに掲載されたとして、著作物の公表権(著作権法18条)、氏名表示権(同法19条)及び複製権(同法21条)を侵害されたとして、控訴人らが被控訴人らに対し、著作権法112条1項及び2項に基づき、同文書の印刷等の中止並びに文書の回収及び廃棄を、民法709条に基づき、損害賠償の支払を、それぞれ請求した事案において、東京高裁は11月14日、本件控訴及び本件附帯控訴をいずれも棄却する判決を下した。ここでは本判決における東京高裁の判断の一部について抜粋して紹介する。
【東京高裁の判断】
■被侵害文書と侵害文書の同一性、被侵害文書の創作性について
控訴人らは、ローム層間のテフラ層序の小区分、テフラ層序の大区分の切り方、火山活動の区分点とテフラ層序の大区分の対応関係、同一名のローム層と水成層の対応関係が、内容的に重要であり、これらの点について同一性が認められる以上、全体としても同一性が認められるべきであると主張する。
しかし、控訴人らが指摘する点が、この層序図において最も重要な内容であるとしても、被侵害部分と侵害部分との間には、原判決で摘示されたような相違があり、それぞれ、同一性がある部分と相違する部分が一体となって、見る者に異なった情報と印象を与えるものであるから、内容面を重視しても、同一性があるとはいえない。控訴人らの主張は、結局、個々の相違点が、子細な差異であることを強調するものである。しかし、仮にそうであるとしても、それらが累積して、全体として同一性を否定し得る差異となることもあり得るものである。
同一性が認められない部分があるとした原判決に、誤りはない。
層序の記載については同一性が認められるものの、この部分に係る被侵害部分の記載に、著作権の保護に値する創作性があるということはできない。それは、この部分が、個々の地層名とそれらが形成された年代を横軸に対比させた上で、その先後関係を縦軸に配置したものであり、その表現方法は、一般的なものであって、同程度の学識経験がある者であれば、同じ体裁の図を作るものと認められるからである。また、「七国峠ローム層」等の名称も、地名と学術用語を組み合わせただけものであり、著作権法により使用を制限するに値するような個性が現れているとは認められない。
被侵害部分に記載されているような地層を発見し、その構成を特定し、その層序を決めることは、豊富な経験知識を前提に、膨大な現地調査とそれに基づく根気強い分析をすることを要するものであろうことは、想像に難くない。また、その結果得られた発見や仮説が大きな価値を有することもいうまでもないところである。
しかし、著作権法は、発見や仮説そのものを保護し、これらを発見者や仮説の提唱者に独占させようとするものではない。控訴人ら主張のように、素材の取捨選択等の内容の重視を押し進めて、それが独創的であるとの一事をもって、表現に創作性がある、としたり、あるいは内容が同一であることから、表現にも同一性がある、としたりすると、その背後にある発見(発見された事実)や仮説の他者による表明が、事実上極めて困難となり、結局、発見や仮説そのものを保護し、発見者や提唱者によるその独占を認めることにならざるを得ない。
このような結果は、著作権法の立場と両立し得ないことが明らかであり、このような結果をもたらす控訴人らの解釈を採用することはできない。
◆H14.11.14 東京高裁 平成12(ネ)5964等 著作権 民事訴訟事件 東京高等裁判所第6民事部 裁判長裁判官 山 下 和 明 裁判官 設 樂 隆 一 裁判官 高 瀬 順 久
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