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【東高裁】別会社に著作権使用料支払の認識が引き継がれたと判断
訴訟】発信:2003/01/21(火) 09:59:46  

   被控訴人ら及び有限会社ダイサンプロモーション(当審では被控訴人となっていない。以下「ダイサン」という。)を被告として、控訴人が、原判決添付の楽曲リスト掲載の音楽著作物の不使用や、ダイサンに対する1529万6364円の支払等をもとめていた事件において、東京高裁は1月16日、原判決中控訴人の敗訴部分を取り消し、被控訴人等に対して金1543万2900を支払う旨の判決を下した。ここでは本判決における東京高裁の判断の一部について抜粋して紹介する。

   なお控訴人である(社団法人日本音楽著作権協会)は、「著作権ニ関スル仲介業務ニ関スル法律」に基づく許可(著作権等管理事業法に基づく文化庁長官の登録)を受けた音楽著作権仲介団体であり、内外国の音楽著作物の著作権者から、著作権やその支分権の移転を受けるなどしてこれを管理し、自己が管理する音楽著作物の使用を望む者に対しその使用を許諾し、その対価として管理著作物使用料(以下単に「著作物使用料」という。)を徴収して、これを著作権者に分配している。


   【東京高裁の判断】

   ■控訴人とダイサンとの関係について

   ダイサンの前身である株式会社第三プロモーション(平成8年3月1日に有限会社に組織変更されて現商号となった。以下、これも「ダイサン」という。)は、昭和58年2月に音楽興行等を目的として設立され、スポーツイベントや歌謡ショーの興行を手がけてきた。被控訴人Bは、少なくとも原審の口頭弁論終結時までダイサンの代表取締役の地位にあり、上記のダイサンの興行を専ら担ってきた。

   ダイサンは、平成元年4月ころ、控訴人と、ダイサンが過去に控訴人から許諾を受けないで演奏使用した分の著作物使用料相当額、及び、使用につき許諾を受けてはいるものの著作物使用料が未払となっている額について、これらを弁済する契約を締結した。

   それ以降も、多数回にわたり、ダイサンから、控訴人の管理著作物の使用許可が申請され、控訴人がこれを許諾し、著作物使用料も、遅滞もあったとはいえ、支払われてきた。滞納分についても、平成8年2月29日付けで、本件和解契約が締結されている。ただし、ダイサンが同年1月28日以降に開催した演奏会に関して、同社は、控訴人に対し、その督促があったにもかかわらず、その管理著作物の使用許諾自体を求めておらず、著作物使用料も支払っていない。

   上記のとおり、控訴人は、演奏会における管理著作物の使用料について明確な算定基準を設けていたこと、ダイサンは、演奏会等を開催するに当たり、控訴人に対しその管理著作物の使用の許諾を求め、その都度許諾を得ることを多数回繰り返し、上記基準どおり算定された金額を支払ってきたことが認められ、これらの事実により、被控訴人B、ひいてはダイサンは、演奏会等で控訴人の管理著作物を使用する場合、事前にその許諾を受け、著作物使用料を支払う義務があることを十分認識していたと認めることができる。

   ■控訴人と被控訴人オカモトとの関係について

   ダイサンが平成9年3月ころ倒産して対外的な信用をなくし、歌謡ショー等の興行事業ができなくなった直後から、被控訴人オカモトは、ダイサンの代表取締役であった被控訴人Bを主要な営業活動の担当者(もともと、同人は、平成9年4月まで、被控訴人オカモトの代表取締役でもあった。)として、その経験や実績を活用して、かつ、ダイサンエージェンシーの名称により、興行事業を行ってきている。また、もともと、被控訴人Aは、ダイサンの取締役でもあり、かつ、被控訴人Bと同Aは夫婦であって、ダイサン及び被控訴人オカモトは、役員が一部共通する上、いずれも小規模同族会社であるとの色彩が濃い会社である。

     これらの事実により、上記で認定したダイサンの認識は、被控訴人オカモトにも、当然引き継がれていた、と認めることができる。・・・略・・・

    以上のとおりであるから、控訴対象演奏会についても、被控訴人オカモトは、控訴人に対し、著作物使用料相当損害金を支払う義務がある、とする控訴人の主張には理由がある。そして、上記記載の各状況の下では、被控訴人Aも、控訴対象演奏会に係る著作物使用料相当損害金について、有限会社法30条の3第1項に基づく損害賠償責任を負うものというべきである。

   ■被控訴人Bの責任について

   被控訴人オカモトは、もともとは、雑貨や子供服の取扱業務をしていた。しかし、ダイサンが倒産した後は、歌謡ショー等の興行を主として行ってきている。

   被控訴人Bと被控訴人オカモトとの関係は既に述べたとおりであり、被控訴人オカモトの興行に関する活動、例えば控訴人やプロダクションとの交渉等に関しては、被控訴人Bが長年にわたる経験、実績を有していることから、同人の果たす役割が決定的に重要であることは論ずるまでもないところである。

   前記認定のとおり、被控訴人Bは、平成9年8月30日以前から、演奏会において控訴人の管理著作物を演奏使用する以上、著作物使用料を支払う義務があることを熟知していた。

   被控訴人Bは、従来のダイサンの興行業務におけるのと基本的に同様の役割を、被控訴人オカモトが歌謡ショー等の興行をするに際しても果たしており、具体的には、その実施の決定に参画し、プロダクション等との折衝も担当するなどしていた。これに、平成9年8月以降の控訴人との交渉は、専ら被控訴人Bが担当していることも併せ考慮すると、控訴人に対する管理著作物の使用申請をするか否か、著作物使用料を払うか否か等の意思決定に対し、被控訴人Bが決定的に重要な関与をしていたと優に認めることができる。ところが、同人は、控訴人に対する使用申請を一切せず、その結果、控訴人に対し、著作物使用料を得ることができないという損害を負わせている。

   したがって、被控訴人Bは、別紙演奏会目録(3)の演奏会における被控訴人オカモトによる管理著作物の無断使用について、民法709条に基づく不法行為責任を負うと認められる。


   ◆H15. 1.16 東京高裁 平成14(ネ)4053 著作権 民事訴訟事件
   東京高等裁判所第6民事部
   裁判長裁判官 山  下  和  明
   裁判官 設  樂  隆  一
   裁判官 高  瀬  順  久



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