| 【東高裁】商標登録を受けても、他商標の抵触調査義務が存在
【訴訟】発信:2003/03/18(火) 12:52:32 |
| 被告各標章を使用して被服等を生産し販売する被控訴人(1審被告)の行為が、控訴人(1審原告)が有する商標権を侵害し、また、不正競争防止法2条1項1号の不正競争行為に該当するとして、商標権及び不正競争防止法に基づいて、商標の使用行為の中止及び商品等の廃棄並びに損害賠償を請求した事案において、東京高裁は3月13日、被控訴人に約5000万円の支払いを命じる判決を下した。ここでは本判決における東京高裁の判断の一部を抜粋して紹介する。 【東京高裁の判断】 ■無過失の抗弁について 被控訴人は、被控訴人が有していた被控訴人商標権1及び被控訴人商標権2に基づき、被告各標章を使用したものであり、被控訴人商標権1の登録異議の申立てに基づく取消決定が確定したころに、その使用をいずれも中止したのであるから、被控訴人が被告各標章を使用したことについては過失はない、と主張する。 しかし、商標法39条は、特許法103条の過失の推定規定を商標権侵害に準用しており、他人の商標権を侵害した者は、その侵害行為について過失があったことが推定されている。業として商品を生産し、販売する者が、その商品に商標を使用する場合には、他人の商標権を侵害することがないように、事前に専門家に調査、検討を依頼するなどして、これを慎重に検討すべきであることなどは、上記の過失の推定を打ち破るためには、最低限、必要とされる基本的な事柄である。 そして、被控訴人のように、その使用する商標について商標登録を得ることができた場合においても、商標権については、その商標登録後に、登録異議申立てによりその登録が取り消されたり、無効審判請求により無効とされることがあることは、あらかじめ商標法が予定しているところであるから、商標登録を受けているとしても、上記の他人の商標との抵触のおそれについての調査検討義務が不要になるわけではないことは当然である。 本件においては、被控訴人がこのような調査検討義務を果たしたとの主張も証拠もないのであるから、被控訴人の無過失の主張は理由がないことが明らかである。 ■中用権について 商標法33条は、無効審判の請求の登録前の使用により周知となった商標について、無効とされた場合に中用権を認めた規定である。被控訴人は、登録異議の申し立てによる取消決定があった場合にも、この規定の類推適用がある旨主張する。 しかし、無効審判の請求については、一部の無効理由について商標権の設定登録の日から5年を経過した後に請求することができない、との制限があるとはいえ、そのほかは、特に期間的制限がなく、請求できるものであるのに対し(商標法46条、47条)、登録異議申立ては、商標掲載公報発行の日から2月以内という短期間に限り、申し立てることができるものであるから(同43条の2)、無効審判請求の場合において長年にわたる努力により信用を蓄積してきた企業について中用権を認めることを正当化するような事情は、登録異議申立ての制度において認めることはできない。 ◆H15. 3.13 東京高裁 平成14(ネ)4552 商標権 民事訴訟事件 東京高等裁判所第6民事部 裁判長裁判官 山 下 和 明 裁判官 設 樂 隆 一 裁判官 阿 部 正 幸 |
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