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【東高裁】特許の独占による周知性だけを根拠にはできず…不競法
訴訟】発信:2003/05/26(月) 11:24:05  

   控訴人らは、被控訴人らの製品であるPCフレームの形状及びその名称が、不正競争防止法2条1項1号ないし2号の「商品等表示」に該当し、「商品等表示」としての周知性及び著名性も獲得しているとし、さらに、被控訴人らの製品であるPUC受圧板の形状が控訴人製品と類似しており、しかも、被控訴人らは本件各名称を被控訴人製品に使用しているとして、不正競争防止法2条1項1号ないし2号を根拠に被控訴人ら全員に対して、被控訴人製品への本件各名称の使用及び被控訴人製品の展示、製造・販売等を禁止し、損害賠償を求めた事件において、東京高裁は5月22日、本件控訴をいずれも棄却する判決を下した。ここでは本判決における東京地裁の判断の一部を抜粋して紹介する。

   【東京高裁の判断】

   ■PCフレームの形状が不競法2条1項1号、2号の「商品等表示」に該当するか

   ●形状について

   控訴人らは、受圧板の形状として、本件各形状以外にも様々なものがあり得る、と主張し、これに沿う証拠を提出する。確かに、本件各形状は、アンカーに固定され、斜面を押圧することにより、その安定化を図るという受圧板の機能からは、これらしかあり得ないとまでは認められない。これら以外にも、多様な形の受圧板があり得ると認められ、現に、実際に工事に用いられているものもある。

   しかし、他の機能上の要求を考慮したり、用いる材料の特徴を反映させたり、あるいは美観上の要求を優先させるなどすれば、異なった形状を採り得ることは当然であるものの、そのことは、本件各形状が、機能上要求される要素から導き出される基本的な形状の一つであるとの上記認定を妨げるものではない。

   以上の観点からしても、上記PCフレームとPUC受圧板に共通する形状が、プレストレストコンクリート製の受圧板の機能上要求される要素から当然に導き出される、すなわち、機能と必然的に結び付いた形状であり、不正競争防止法2条1項1号ないし2号の商品等表示に該当しないとした原判決の判断には、何ら誤りはないというべきである。

   ●周知著名について

   原判決が認定した、控訴人協会の構成員が、PCフレーム工法を開発して、控訴人らが初めてプレストレストコンクリート製の斜面受圧板を市場に投入したこと、昭和61年12月ころ以降、控訴人らが独占的にプレストレストコンクリート製の斜面受圧板を販売してきたこと、その間、控訴人らは、PCフレーム工法のカタログを配布し、多数回にわたり技術説明会を開き、雑誌・新聞等において広告や記事が掲載されてきたこと、同種製品(PUC受圧板)は、平成11年2月ころまで現われなかったことに加え、現在でも、PCフレームは相当程度高い市場占有率を有していること(弁論の全趣旨)に鑑みれば、PCフレームの3形状を採用したプレストレストコンクリート製の斜面受圧板の形状を見て、その限りでは、控訴人らの製品であると認識する当業者は、現在でも決して少なくないと認めることができる。

   しかし、控訴人らが、プレストレストコンクリート製の斜面受圧板を独占的に販売してきたことは、控訴人らがPCフレーム工法に関して特許権等を有しており、他者が同種の斜面受圧板を製造・販売することが制限されていたためと認められる。特許権等の知的財産権の存在により独占状態が生じ、これに伴って周知性ないし著名性が生じるのはある意味では当然のことであり、これに基づき生じた周知性だけを根拠に、不正競争防止法の適用を認めることは、結局、知的財産権の存続期間経過後も、第三者によるその利用を妨げてしまうことに等しい。

   そのような事態が、価値ある情報の提供に対する対価として、その利用の一定期間の独占を認め、期間経過後は万人にその利用を認めることにより、産業の発達に寄与するという、特許法等の目的に反することは明らかである。

   もっとも、このように、周知性ないし著名性が知的財産権に基づく独占により生じた場合でも、例えば、知的財産権の存続期間が経過し、第三者の同種競合製品が市場に投入されて相当期間経過するなどして、知的財産権を有していたことに基づく独占状態の影響が払拭された後で、なお控訴人製品の形状が出所を表示するものとして周知ないし著名であるとの事情が認められるなどのことがあれば、不正競争防止法2条1項1号、2号を適用する余地はあろう。

   しかし、本件では、そのような事情は一切認められない。


   ◆H15. 5.22 東京高裁 平成15(ネ)366 不正競争 民事訴訟事件
   東京高等裁判所第6民事部
   裁判長裁判官 山  下  和  明
   裁判官 設  樂  隆  一
   裁判官 高  瀬  順  久



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