| 【東高裁】業務請負関係では特別事情がない限り請負人が著作者
【訴訟】発信:2003/07/18(金) 11:00:54 |
| 控訴人は、被控訴人らに対し、選択的に、著作権侵害に基づく差止請求と損害賠償請求等をしたが、原判決は、ゲームソフト「グリーン・グリーン」に関する本件基本シナリオの著作者は控訴人ではなく被控訴人ガンホーであるから著作権侵害は認められない等として、控訴人の請求をいずれも棄却した。控訴人がこれを不服として控訴し、当審において、予備的に、契約締結上の過失等による損害賠償請求を追加した本事件において、東京高裁は7月10日、本件控訴を棄却する判決を下した。ここでは本判決における東京高裁の判断の一部を抜粋して紹介する。 【東京高裁の判断】 ■基本シナリオの著作者について ●控訴人の関与状況 本件基本シナリオは、被控訴人ガンホーの発意に基づき、同被控訴人の従業員らが共同して職務上作成したものであり、また、同被控訴人名で公表することが予定されたものであるから、著作権法15条1項により、同被控訴人が著作者であるというべきである。 控訴人は、控訴人が著作権法15条1項による本件基本シナリオの著作者であるとする理由として、控訴人と被控訴人Aとの関係を主張する。その主張は、被控訴人Aと控訴人との間には業務委託契約に基づく実質的な雇用関係が存在しており、本件業務委託契約もこれを前提として締結されたものであって、同被控訴人は、控訴人の契約社員として、又は本件業務委託契約に基づいて、本件基本シナリオの作成に関与したのであるから、同被控訴人の関与に基づき控訴人について著作権法15条1項に基づくいわゆる職務著作が成立するというものである。 しかし、控訴人の上記主張は、前記引用に係る原判決の認定判断と関係証拠(以下のア、イ)によれば、採用することができない。 ア 被控訴人Aと控訴人との間には本件業務委託契約の締結前に業務委託契約が締結されていたことがあったが、同契約による被控訴人の業務内容は、控訴人の前作であるゲームソフト「カナリア」の営業・外注管理に関するものにすぎなかったと認められ、「グリーン・グリーン」に関する業務については、本件業務委託契約が締結されるまで、控訴人と被控訴人Aとの間で上記以外の契約関係はなかった。 イ 本件業務委託契約は、平成13年1月29日に締結されたが、これに先立ち、「グリーン・グリーン」の製作、販売については、被控訴人ガンホーを開発元、控訴人を販売元とする旨が了解された。 本件業務委託契約は、これを前提として締結されもので、控訴人が「グリーン・グリーン」の販売元となるとの想定に基づき、同契約における被控訴人Aの業務は、「グリーン・グリーン」のプロデュース、広報営業活動全般、開発請負先の管理・折衝とされていた。なお、本件業務委託契約には、「プロデュース」が被控訴人Aの業務内容として記載されているが、ゲームソフトの「プロデュース」とは、製作進行、販売契約、予算管理等を含むゲーム制作全般を統括することを意味することが多く、実際にも、被控訴人Aが行っていたのは、「グリーン・グリーン」の広報活動等が中心であった。 さらに、平成13年1月14日に被控訴人ガンホーが控訴人に対して渡した企画提案書及び平成13年1月19日時点で被控訴人ガンホーの製作スタッフにより具体化されていたキャラクター設定によれば、本件基本シナリオの作成は、同被控訴人と控訴人との間に本件業務委託契約が締結された時期には、その大部分が完了していたと認めることができる。 以上の事実によって考えると、被控訴人Aが、控訴人との契約上の地位に基づき控訴人の従業員に準ずる者として本件基本シナリオの作成に関わる創作活動に関与したと認定することはできないものというべきである。 ●発注形態 控訴人は、また、本件基本シナリオの作成については控訴人を注文主、被控訴人ガンホーを請負人とする実質的な請負契約関係が成立しており、本件基本シナリオは、控訴人の「特注」により作成されたものであるから、著作者は控訴人であると主張する。 しかしながら、控訴人と被控訴人との間に成立していたのが実質的な請負契約関係であり、本件基本シナリオは「特注品」であるとの控訴人の主張は、これを認めるに足りる証拠がないのみならず、仮に控訴人の主張が証拠上認められたとしても、控訴人の主張する点は、本件基本シナリオの著作者は控訴人ガンホーであるとの前記認定を左右するものではない。 すなわち、請負契約に基づき外部の独立した請負人によって著作物が作成された場合、その著作者は、特別の事情がない限り、請負人であると解されるのであり、このことは請負人が法人である場合にも妥当するものであるところ、本件において請負人ではなく注文主を著作者とすべき特別の事情は証拠上見いだすことができない。 特に、本件においては、本件基本シナリオの作成に関わったのは、もっぱら被控訴人ガンホーが組織した製作スタッフであり、本件基本シナリオの作成に当たって控訴人が製作スタッフに対し指示を与える等の行為をすることもなかったのであるから、控訴人が本件基本シナリオについて著作権法15条1項の規定による著作者となる余地はないというべきである。 ◆H15. 7.10 東京高裁 平成15(ネ)546 著作権 民事訴訟事件 東京高等裁判所第18民事部 裁判長裁判官 塚 原 朋 一 裁判官 塩 月 秀 平 裁判官 古 城 春 実 |
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