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弁理士会、工業所有権登録の民間開放に再び反対する声明
動向】発信:2004/12/06(月) 08:42:43  

〜知財協も、同趣旨の反対声明を既に発表〜

   日本弁理士会は12月3日、11月22日に公表された、政府の規制改革・民間開放推進会議議(議長:宮内義彦オリックス会長)の官業民営化等WG(主査:鈴木良男旭リサーチセンター社長)の「個別官業の民間開放の推進について」に盛り込まれた「工業所有権登録の民間開放」に対し、再度、強く反対する声明を発表した。この件に関しては、産業界の団体である日本知的財産協会も、既に同様の反対声明を発表している。

   「個別官業の民間開放の推進について」は、今後、答申原文のとりまとめに向けて関係府省との折衝を継続する官業民営化等WGが、現時点での答申のイメージとしてまとめたもので、民間開放に向けた取り組み(例)として、検査・登録、資格試験等では、工業所有権登録、運転免許試験の民間開放をあげている。

   そして、「工業所有権の登録に関しては、民間開放(包括的委託)を図るべき。なお、そのための条件整備に当たっては、客観的かつ審査にばらつきが出ないような基準作りのみを国が行い、運用部分を民間に任せるべきことに留意する必要」と述べている。。

   日本弁理士会は、8月に、民間開放に馴染まないこと、国際条約上国の責務であること等を理由として、「特許審査の民間開放に強く反対する」と表明しており、今回の上記推進会議の意向表明に対しても、以下の理由により、工業所有権の登録・審査そのものを民間開放することに、再度強く反対するとしている。

1.工業所有権の審査・登録は国家の高度な産業政策である
   特許の審査は、どこまで発明を特許で保護すべきかの国家の高度な産業政策に関連する判断で、実際の出願傾向や審査・審判実務等を踏まえ行われる。特許の登録は、公権力が独占排他権を付与する形式で、国際間でも、パリ条約、PCT(特許協力条約)等では、工業所有権の審査・登録などは国家の政策事項である。審査遅延を理由に民間へ委託できる事項ではなく、民間委託している国もない。

2.審査が単なる基準の運用という考えはあり得ない
   発明は、高度専門技術思想で、明細書に多様に表現され、1件1件大きく異り、特許の審査は、審査官が審査基準・審査例などを基準とし、膨大な従来技術に対して明細書に基づき1件1件把握しつつ、新規性や進歩性などを判断し、独占排他権を付与すべきかの最終判断(ジャッジ)をしている。よって、「基準作りのみを国が行い、運用部分を民間に任せるべき」とする考え方自体が審査の本質を看過している。民間業者に審査を任せたら業者毎の判断ばらつきは避けられず、民間業者が付与した独占排他権を国民が尊重するとは考え難い。

3.民間開放は国際調和の破綻をきたす
   PCTは、民間業者に「受理官庁」、「国際調査機関」、「国際予備調査機関」等としての役割を認めておらず、わが国民はPCT出願制度に関して著しい不利益を受けるうえ、国際条約遵守の憲法第98条に反し、国際調和の破綻となることも明らかである。

4.弁理士への審査委譲について
   上記推進会議の10月27日付経済産業省に対する第2次ヒアリング質問事項において、「特許・工業所有権の設定登録に関する業務は、・・高度な専門性についても、例えば弁理士等に一定の研修、講習等を行うことで担保できるものと考えられる」旨が示されているが、弁理士が特許専門家であっても、民間業者として審査を担当することは現時点において必ずしも適切ではない。

   なお、日本知的財産協会が11月26日に発表している反対声明も、上記1〜3と同様の理由に加え、4では、官民あげての知財立国推進のなかで、このような知的財産権を軽んずる提案に断固反対と述べ、「産業界としての懸念、問題意識を公表し、制度のユーザーとしての意向が本件結論に反映されることを期したい」としている。

【詳細】 工業所有権登録の民間への開放に対する意見(日本弁理士会)
【詳細】「個別官業の民間開放の推進について」に対する意見[pdf](日本知的財産協会)
【参考】平成16年度 第7回規制改革・民間開放推進会議 議事次第(資料7に「個別官業の民間開放の推進について」あり



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